ラグビーでは、ウエイトトレーニングはもはや必須です。

パフォーマンスを向上させるためという目的はもちろん、激しい衝突や動きから身体を守るためにも、十分な筋力を備えておくことが必要です。

基本的にはどのポジションでも行うべきトレーニングは共通しているのですが、細かい部分で言えば、フォワードとバックス、その中でもポジションによって重視する種目には若干の違いがあります。

今回は、ポジション別に特に役に立つトレーニングを取り上げていきます。


1.フォワード第1列

特に重要な役割は、スクラムやブレイクダウンでの「押し」の中心になることです。

ラグビーの選手としてもとりわけ「押し」に対する下半身と体幹の強さが重視されますので、これを鍛えることは直接的に上達へとつながります。

通常のスクワットに加え、担いで立っているのがやっとくらいの重さのウエイト(250~300キロくらいはいけるでしょう)で、膝をほんの少し曲げる程度のスクワットを取り入れてみてください。

初めは体幹がぐらぐらしますが、やがてそのぐらつきがなくなります。

そうすれば、スクラムなどで相手の押しが随分軽いと感じるようになるはずです。


2.フォワード第2列

第1列と同じようなトレーニングも取り入れて良いと思いますが、ラインアウトでジャンパーになるプレイヤーも多いことを考えると、足元の瞬発力も高めておくべきでしょう。

パワークリーンなど、ウエイトを使って筋力の爆発力を引き出すトレーニングは有効です。

また、自分のジャンプ力よりも高い場所(80~100cmくらい)から地面に飛び降りるトレーニングも、跳躍力を高めるために効果的です。

ただし、膝への負担が大きいため、少ないセット数にしておきましょう。


3.フォワード第3列

ラグビーに求められるパワーとスピードをオールマイティーに鍛えなければならないので、まんべんなく鍛える必要があります。

強いて言えば、重い負荷で1セットごとのレップ数を少なくし筋力を高めるものと、軽めの負荷で瞬発力を引き出すもの、そして持久力を高めるウエイトトレーニングを組み合わせてセットを組むと、パワーとスピード、かつ持久力のバランスを取りながら身体を鍛えることができます。


4.スクラムハーフ、スタンドオフ

どちらかというとフォワードなど大きな選手にもタックルする機会が多いバックス陣です。

タックルでの耐久力を上げておくことが重要です。

また、キックを蹴ることが多いので、その動きに近い状態でトレーニングするのもいいでしょう。

首、肩の筋力を養うショルダープレスや、サイドフライなどを欠かさないようにし、肩周りの怪我を防止してください。

また、キックに関しては、ウエイトマシンのレッグエクステンションが効果的です。

オーバーワークにならないよう、スクワットやランジなどの回数を少し減らして、レッグエクステンションも取り入れてみましょう。


5.センタースリークォーターバック

フォワード第3列とほぼ同じと考えてよいと思います。

強いて言うならば、フォワードよりもスピードにより重点を置く、という感じです。

ランジなど動きのあるウエイトトレーニングを多めにし、ハムストリングスを鍛えるためにヒップレイズなども効果的です。


6.ウィングスリークォーターバック

何よりもスピードが重視されます。

つまり、身体的な基礎能力が差を生むポジションでもあるので、ウエイトトレーニングはラグビー選手としての上達に直接的な効果があると言えます。

ラグビーの選手の中では比較的ヒットの回数が少ないポジションですが、ウエイトトレーニングは基礎的なものを広くこなして身体を守る筋肉はしっかりと鍛えつつ、足回りとそれを支える体幹部を強化しましょう。

ハムストリングスと腓腹筋・ヒラメ筋(ふくらはぎ)は特に鍛えておくべきです。

ハムストリングスは、マシンを使うならヒップエクステンション、使わなければヒップレイズで鍛えることができます。

また、スクワットの負荷を最大筋力の60~70%にし、クオーター(フルの4分の1程度の深さ)で腰を前に出すようなイメージで素早く上げるようにすると、同じくハムストリングスには効果的です。

腓腹筋・ヒラメ筋はカーフレイズで鍛えることができます。


7.フルバック

スタンドオフと似たようなウエイトトレーニングが好ましいと言えます。

こちらもキックを蹴ることが多いので、ウエイトマシンのレッグエクステンションなどできるだけキックの動作に近い形のトレーニングを多く取り入れて足回りを鍛えると良いでしょう。

また、ウィングと同様にフィールドを広く走る能力も特に求められます。

縦横に走るためのスピードを得るために、ウィングと同じくスピード強化系のトレーニングも意識的に取り入れてください。