ハーフバックの役割と動き方の記事では、ハーフバックというくくりでスクラムハーフとスタンドオフについて説明しました。

今回と次回は、それぞれのポジションについて具体的に説明していきます。今回は、スクラムハーフ(9番)です。

常にフォワードのすぐ近くでプレーし、スクラム、ラックモールで確保したボールをどうさばくか、というのがスクラムハーフの仕事です。


1.体が小さいプレイヤーが多い

ラグビーは、体が大きい屈強な男たちがやるスポーツだというイメージが強いようです。

あれだけ激しいコンタクトがあれば、そういうイメージが一般的になるのも当然ですね。

ただ、スクラムハーフには、小柄な選手がとても多くいます。

海外のチームでも、あえて小柄というほどではないにしろ、比較的小さい体の選手が結構います。

理由として一般的に言われていることは、スクラムハーフは常にボールのあるところにいてボールをコントロールしなければならず、小回りが利くこと、すばしっこく動けることが必要であり、小柄な選手のほうが向いている、ということです。

2015年のワールドカップで見たように、ラグビーというスポーツでも小柄な選手が多く活躍し、世界でも通用しているということはとても勇気づけられるものがあります。


2.正確なパスが必須技術

スクラムハーフは、フォワードが確保したボールをどう使うか、どうさばくかということを決め、使うべき場所にすかさずボールを供給する役割を担っています。

それが近くのフォワードでも、後ろにラインを引いているバックスでも、味方が次の行動に移りやすい、捕りやすいボールを一試合通じて供給しなければなりません。

それには、遠くまで届く正確無比なパスを身に着けることが不可欠です。


3.キックの技術も必要

スクラムハーフはバックスの中でも常にフォワードのそばでプレーし、相手チーム全体の動きを見てボールの供給先を判断します。

したがって、相手のバックフィールドにスペースがあるときには、そこにキックを蹴り込んだり、スタンドオフに変わってハイパントを蹴ったりということもあり、正確なキックの技術も持ち合わせていなければなりません。


4.強さと勇気が必要

前述のように、スクラムハーフは体の小さな選手が多いですが、常にフォワードのそばにいることから、ボールを持てばフォワードがタックルにきたり、反対に大きなフォワードにタックルに行くことも多く、強さも必要なポジションです。

最近のハーフバック陣は高い精度のタックルを求められますが、特にスクラムハーフはフォワードといつも至近距離で接点を持ちますから、特に勇気を必要とするポジションとも言えるでしょう。

その意味では、精神的な上達が一番求められるポジションだと思いますが、それだけ誇らしい役割を担っているとも言えます。


5.まとめ

ハーフバックは、常に冷静さを求められ、戦略家でなければなりません。

現役を引退した後、名監督となった選手も数多くいるポジションでもあります。

ラグビー全般について理解度が高く、制度の高いパス、正確なキック、総合的判断力、そしてフォワードと対峙する勇気、すべてを高いレベルで求められます。

それだけ面白いポジションでもあると言えるでしょう。

余談ですが、スクラムハーフはレフェリーの近くにいるポジションでもあるので、レフェリーに対してちょこちょこ質問するなど、よくしゃべる選手も多いです。

そういうところでのしたたかさも、スクラムハーフとしての上達には欠かせないのかもしれませんね。