2015年のラグビーワールドカップでは、日本代表の大活躍が世界中を興奮の渦に巻き込みましたが、あの快進撃の原動力となったのは、何度となく果敢に繰り出される「タックル」です。

初めに、ラグビーの基本ともいえるタックルを上達させる練習メニューをご紹介します。

タックルには様々な種類がありますが、ここでは基本となる「フロントタックル」(相手の正面に入るタックル)で考えます。


1.まずは相手の腰より下に入る

タックルの最も重要かつ基本的なポイントは、「相手の腰より下」、具体的には膝から太腿に自分の肩を当てにいくことです。

相手より体が小さくても、低い位置にタックルすることで相手を止めやすく、上手く入れば相手を後ろ向きに倒すことができます。

練習方法は簡単で、タックルバッグに一般的な選手の膝くらいの高さで印をつけ、その位置に自分の肩が入るように繰り返しヒットすることです。

ヒットする瞬間に、相手の足を両手で確実につかみ、自分の身体に強く引き付けます。

このとき、姿勢に注意しましょう。

自分の頭が下がると危険ですから、顔は前をしっかりと向けます。

肩、背中、腰は一直線に、地面と平行になる姿勢をイメージしてください。

こうすることで、当たったときの力を効果的に相手に伝えることができます。

多くの初心者はこの姿勢がほとんどできていないために、当たってもタックルバッグの重さに負けてしまうのです。

これを意識して練習するだけで、タックルは段違いに上達します。


2.自分から相手にしっかりと「当たる」ことを意識する

タックルが上手くいかないもう一つの大きな要因は、自分から相手に当たれていないことです。

走ってくる相手に対して、腕だけでつかもうとしたり、相手の勢いをそのまま後ろに受け流しながら倒そうとしたりしていませんか?

ラグビーでは、相手を向こうに押し返すくらいのタックルができなければずるずると前進を許すことになりますし、きちんと当たれなければ相手が倒れることもありません。

相手に強い力で当たるためには、「当たる瞬間に、当たる肩と同じ側の足が、相手の体の30㎝以内に着地していること」が重要です。

つまり、出来る限り相手の身体に近いところまで、足を踏み込むということです。

タックルバッグで練習する時に、できる限りバッグの近くまで足を踏み込むようにしてください。

足が自分の腰より後ろに着くと力が伝わらないため、腰よりも前に足をグッと持ってくることを意識しましょう。

驚くほど強くバッグに当たれ、上達に近づいた実感が沸くはずです。

そして、当たった後は倒れるまで足を掻き続け、相手を押していくイメージを忘れないでください。


3.低いタックルを可能にする姿勢には筋力も必要

1.で「力を伝えるために、頭・肩・腰が地面と平行になるように」と言いました。

これをずっと続けるには、筋力も必要です。

そのための簡単な練習として、2つご紹介します。

①タイヤ押し

砂地の地面に置いたタイヤに、肩幅に開いて手を置きます。

で説明した姿勢を崩さないようにしながら、足をしっかりと掻いて10~20メートルの往復を10セットほど繰り返しましょう。

②壁押し

カベの前にしゃがみ、手を肩幅に開いて、壁を押すように置きます。

頭・背中・腰が地面に平行になるようにし、膝が地面から少し浮く程度のところで踏ん張ります。

このとき、背中から腰、腰から膝のラインは90度になるイメージが最適です。

こうすることで、低いタックルに入るための姿勢を保つ背中から足までの筋肉が効率的に強化され、タックルの上達につながります。


4.まとめ

走ってくる相手に対し、自分からも当たりに行くことはとても勇気が必要です。

しかし、当たることはラグビーの基本であり、できなければ一流プレーヤーへの道は開けません。

相手に強くヒットできるようになると、面白いように倒すことができるになりますし、他のテクニックにも良い影響が出てきます。

「相手の腰より下に入り」、「自分から当たる」、「相手の脚を強く引いて」、「足を掻いて押し倒す」という基本をしっかり身に着ける練習をすることが、ラグビー上達の近道です。