ラグビーのタックルは、練習すればするほどどんな人でも上達することができるスキルです。

他の要素に比べ、恐怖心を捨て思い切りヒットすることさえできれば、あとは自分なりのコツを身に着けていけばかなりの水準に達することができます。

とはいえ、人を相手に練習するのは、けがの発生の観点からもかなり限定された時間でしか行うことはできません。

そこで、ダミーが大活躍します。

これまでも、随所でダミーを使ったタックルの練習を説明してきましたが、ここではある程度おさらいする気持ちでもう一度見ていきましょう。


1.低く、強く、すかさず掴む

ラグビーのタックルには様々な種類があるものの、まずは相手の腰より下に入る低いタックルが基本になるというのは何度も説明してきました。

「低く」入り、「強く」ヒットし、相手の足を間髪入れずに「すかさず掴む」動作を一連の流れで行うことで、タックルは成功します。

この流れを安全に身体で覚えて技術を上達させるには、ダミーがとても役に立ちます。

人が手に持るハンドダミーでも、重い筒のようなタックルダミーでも、最初に身体に覚え込ませる上で気にすべきことはほぼ同じです。

まずは低くための目安を常に意識してください。

ハンドダミーなら、それを持って構える人の膝の高さ、タックルダミーでも、最初はすぐそばに人に立ってもらい、同じく膝くらいの高さになるところを目指して当たるようにします。

周りの人は、低さと同時に姿勢をチェックしてあげましょう。

つまり、「頭が下がっていないか」「背中が丸まっていないか」「腰がしっかり落とせているか」がポイントになります。

特に、低く入る際に腰が落とせていないと、頭も下がりやすくなりますし背中も丸くなりがちです。


2.タックルダミーを使う時の注意点

ラグビーでは怪我を恐れてなかなか人に対してヒットする練習は多くはできませんが、タックルダミーは、人が受けるわけではないので思い切り当たることができる良い練習道具です。

ただ、重量があって反動による衝撃もそれなりのものがあるので、しっかりと当たらないときれいに倒れません。

イメージは、

・低い位置に当たった後すかさずダミーを両腕で掴み、ぐいっと自分の胸に引き寄せる

・引き寄せると同時に足を前に出し、そのまま掻き続ける

という感じでしょうか。

ヒットし、掴み、足を掻くという流れがスムーズにできるようになると、自分でも驚くほどすんなりとダミーが倒れます。


3.ハンドダミーは練習にバリエーションがつけられる

ハンドダミーを人が持って受ける場合も、基本的に注意することはタックルダミーと同じです。

ただし、人が持つ分、動きを付けた練習ができるのが利点です。

ラグビーでは相手も常に動いているわけですから、それに対応してタックルする練習はどうしても必要です。

これまで紹介したもの以外だと、ダミー側が敢えてタックラーに対して正面から当たりにいき、それに対してタックルする練習もあります。

試合では、自分が思ってもいないタイミングで相手がポイントを作るために当たりに来ることも多いからです。

また、一種のドリルのような練習ですが、4~5人がダミーを持ち、合図に合わせて連続してタックルしていく練習もあります。

いずれにしても、ハンドダミーを使った練習はいろいろとバリエーションが考えられるので、自分たちでも独自の練習を作り出してタックルを上達させましょう。


4.まとめ

ラグビーはコンタクトスポーツですから、相手と当たる練習をすることは絶対に必要ですが、それはけがをする確率を高めることにもなります。

人に直接当たるタックル練習は、できる限り指導者の管理の下で短時間、少ない本数で行うようにする代わり、ハンドダミーやタックルダミーを効果的に使い、コンタクトする感覚を磨けるようにしてください。

ダミーの使い方が、上達に差を生むことは間違いありません。