ラグビーの選手といえば、やはり大きな体の屈強な男たちを想像すると思います。

特にフォワードは、試合中つねに激しい肉弾戦を繰り広げますので、そのイメージは強いことでしょう。

しかし、実は小柄な選手でも、工夫次第ではフォワードでも十分に戦うことができます。

身体は小さいけれどフォワードをやりたい、と思っている人も、ぜひ諦めずに挑戦してみてください。


1.フッカー

スクラムの第一列、ラグビーのポジションの中でも最も激しい最前線に常にいるのがフッカーですが、実はとても特殊なポジションです。

スクラムの際はフッキングを担当、ラインアウトではスロワー、そして第二のナンバーエイトのような役割も担います。

スクラムは通常、フッカーの脇の下から両サイドのプロップが腕を入れてバインドします。

よって、身長差があったとしても、フロントロー3人の肩のラインは、スクラムを組むうえでは問題にならないのです。

身長が低いということは、(いい意味で)足が長すぎず、小回りが利く足さばきができます。

つまり、フッキングにも有利なのです。

さらに、身体が小さい代わりにで走力に秀でた選手もフッカーには多く、ブレイクダウンに素早く到達できるスピードは非常に大切な要素です。


2.フランカー

ラグビーのフォワードの中でも走力を一段と求められるフランカーも、身体が小さい選手は意外に珍しくありません。

かつて慶応義塾大学ラグビー部から神戸製鋼に入り、日本代表としても活躍した野澤武史氏は、身長が170㎝と小さいながらも、相手を置き去りにするスピードと弾丸のような突破力で、身体の大きな選手を凌駕する活躍を見せていました。

フランカーはフィールドを走り回り、バックスのような働きをすることも多いため、まず足の速さに自信がある人ならかなりの活躍を見込めます。

また、スピードを維持しながら体重を増加させパワーをつければ、むしろ身長の低い選手は脅威になります。

ラグビーのフォワードのように密集での肉弾戦を求められる場合、腰の重心が低い方が有利になるからです。

相撲などでは「腰が高い」と表現されますが、重心が高いとそれだけ衝突時の衝撃に耐えにくくなります。

スピードがあり、かつ重心の低さを活かしたコンタクトができれば、大きなフォワードを相手にしても全く遜色ない活躍ができるまでに上達することでしょう。


3.身体の鍛え方

身長が低いということは、必然的に体重が軽いということでもあります。

よって、フォワードとして戦うならば体重を増やす必要がありますが、増やし方には気をつけてください。

ここまで、身体が小さい選手でもラグビーのフォワードは活躍でき、特にフッカーとフランカーは活躍しやすい、ということを話してきましたが、そのカギは「スピード」です。

そのスピードと言うのは、走る速さが速いに越したことはありませんが、どちらかというと機敏に動けること、つまり敏捷性やクイックネスに優れていることのほうが大切です。

そのため、体重は出来る限り筋肉で増やし、余計な脂肪はあまりつけないよう努力してください。

筋トレを誰よりも熱心にやりつつ、最も気にすべきことは食事です。

脂肪分は最低限の分量は必要ですが、現代の食生活では普通に食事していれば必要量はほぼ賄えます。

出来る限り意識して、高たんぱく低脂肪の食品を多く取りましょう。

牛乳やヨーグルト、納豆、魚、卵などがよい食品の例です。


4.まとめ

身体が大きな選手が多いラグビーのフォワードだからこそ、身体が小さい選手が活躍しているときは、観ている方もとても興奮します。

何より、戦っている自分自身に満足感や自信があふれてくるでしょう。

身体を上手に鍛え、熱心に練習して技術を上達させれば、必ず身体が小さい選手も大活躍できるはずです。

身体が小さいからといってあきらめず、素晴らしいフォワードになっていただきたいと思います。