バックスの最両端に位置する背番号11番と14番は、ウィングスリークォーターバック(ウィング)と呼ばれます。
その名の通り、広いバックフィールドの左と右にいるウィングの役割は、何と言っても「フィニッシャー」、つまり味方が繋いできたボールを最後にトライすることです。
ディフェンスにおいては、特にキックの処理において精度の高い動きをしなければなりません。
世界では身長190センチ以上の大きな選手が多く、捕まってもそこからさらに展開しますが、日本では小さくても華麗なステップでタックルをかわし、スピードで相手を振り切るタイプが好まれます。
1.責任重大なフィニッシャー
責任重大、というとプレッシャーになるかもしれませんが、攻撃においてバックスの一番端に位置するウィングスリークォーターバックにまでボールが回ってくる機会は試合中もそうそう多くはありません。
だからこそ、ウィングスリークォーターバックにボールが回ったときは、そのボールを取らいまで持っていくことが期待されているシーンでもあるのです。
ラグビーでは何度となくボールをつなぎ、相手ディフェンスをじりじりと崩しながら、最後に外に展開してフィニッシュするというのが一番多い得点パターンです。
ウィングは、仲間が苦労してつないできたボールを、相手ディフェンスをかわし振り切ってトライまで持っていく走力と責任が求められるのです。
よって、チームの中でも最もスピードがある選手が選ばれることが多いポジションでもあります。
2.スタミナが勝負
自身にボールが回ってくる機会が限定的とはいえ、ウィングスリークォーターバックは常にフィールドを走り回っています。
近年のラグビーではキックが多用されるようになりましたが、スタンドオフがキックしたときにはその地点に真っ先に走ることが多いですし、相手のキックに対してもフルバックとともに的確に処理することが求められます。
また、バックスのライン攻撃の際には、狭いブラインドサイドを一人で突破したり、オープンサイドにブラインドサイドから参加して数的優位を作ったりと、ボールを持っているか否かに関わらず、フィールド全体を走ることが多いのです。
自陣深くから敵陣深くまで走り込むことも多くありますので、スピードとスタミナの両方が必要となります。
ウィングとして上達するならば、基礎的な体力トレーニングは人一倍こなしてほしいところです。
3.フィニッシャーとしての技術
最後にボールを託されるポジションとはいえ、そのときにディフェンスがまったくいないわけではなく、少なくとも1人はウィングスリークォーターバックがかわす、抜くということが必要です。
タックラーの前で一瞬止まり、爆発的な加速で相手を振り切る場面や、切れ味の鋭いステップでするりと相手のタックルをかわしていく場面は、ウィングスリークォーターバックの最大の見せ場であり、観客を魅了するシーンでもあります。
フィニッシャーとして、足回りの技術は特に上達を求められます。
4.まとめ
ボールを持てばトライゲッターとなり、ボールを持たなくともフィールドを走り回るという、まさにラグビーのフィールドを自分の庭のように駆け抜けることを求められるのがウィングスリークォーターバックです。
少ないチャンスをものにできるフィニッシャーがいるチームは、必然的に勝利の確率が高くなります。
ウィングとして選ばれたからには、トライを取ることに人一倍の執念を持ちましょう。