楕円のボールがきれいに回転しながら宙を舞って、味方の手にすっぽりと収まるまでの一瞬。

力と力の衝突が繰り返されるラグビーのゲームの中で、突如現れる美しいボールの軌跡にうっとりと見とれてしまうことがあるでしょう。

スクリューパスはその美しさだけでなく、遠くにいる味方に素早く、かつ取りやすいパスを送るうえでとても重要な技術です。

特に密集からボールを何度も供給するスクラムハーフにとっては、必須の技術です。ここでは、スクリューパスのコツについて見てみましょう。


1.無理に回転させようとしない

ラグビーのスクリューパスは何と言ってもあの見事な回転が印象的なので、初心者はどうしても、ボールを回転させることを意識してしまいます。

実はスクリューパスは、速く遠くに飛ばすために回転を「かけている」のではありません。

速く遠くに飛ばせるフォームで投げると、「勝手に回転がかかる」というだけなのです。

ボールが遠くまで飛ぶようになるにつれ、回転はだんだんと自然にきれいにかかるようになっていきますので、初めはむしろ回転を気にしないことがコツ中のコツです。

力まずに、腕を自然に、なめらかに振り抜くイメージでボールを離すようにすれば、だんだん回転がついてきます。

スクリューパスの練習でありながら、スクリューを意識しないことが上達の近道とも言えるでしょう。


2.ボールを持つ位置を自分なりに覚える

スクリューパスは上達すると非常に速いスピードで遠くまで投げられるようになりますが、そのためには腕の力をスムーズにボールに伝える必要があり、そのときに意外に手の位置が大事だったりします。

右から左に投げる場合、おおまかには投げる方向に対してボールの後ろ半分に右手を置き、左手は方向を調整するために沿える程度にします。

手を置く位置は、手の大きさや力を伝えやすいポイントなどが人によって様々ですので、何度も投げて一番しっくりくるところを探してください。


3. 相手の胸に一直線にボールが飛ぶことを意識して

右から投げるときは右手、左から投げるときは左手、それぞれ片手だけで投げる感覚で、もう一方の手は添えるのみです。

このとき、ボールの両端を結ぶ線が一本の棒だと思って、まっすぐに相手の胸のあたりに突き刺さるイメージを持つのがスクリューパスのコツです。

相手の胸に向かって両手をまっすぐに伸ばしてボールを離すようにすると方向が安定するようになります。

イメージがつかめてきたら、ボールを離すときに、(右から投げる場合)右手の薬指と小指が上を向くように、同時に左手は親指が下を向くように、なめらかに手首を回転させてみてください。

腕を振る一連の流れの中でスムーズにできるようになると、さらにうまく回転がかかり、スピードも出るようになるでしょう。


4.まとめ

ラグビーでは華やかなプレー、技術ほど目につき、どうしてもその見た目から入ってしまいがちですが、スクリューパスはとにかく「回転をかけようと思わない」ことが何より上達を早くするコツです。

華やかに見えてもパスはパスですから、ランパスをしながらでも、普段の練習の中でも、試す場はたくさんあります。

ラグビーはボールを大切に味方につなぎ続けて初めて得点となるスポーツですから、あくまで、遠くに飛ばしながらも味方が取りやすいパスを投げる意識が大切です。

その意味では、味方のことを思ってパスすることも、大切な「コツ」と言えるかもしれませんね。