タックルは、ラグビーの守備において最も基本的な技術だということは言うまでもありませんが、同時にタックルに必要な技術的要素は、スクラムやラックなど他の場面でも共通して求められるものも多くあります。

つまり、タックルを上達させることは、ラグビーの実力を全般的に上達させることでもあるのです。

そこで、その中でも一番基礎的で、かつ最も重要な要素を身に着ける方法を見ていきたいと思います。

それはズバリ、「低さ」です。


1.タックルに低く入れることの意味

ラグビーのタックルにはいろいろな種類がありますが、何より基本的なことは相手の腰より下をめがけて「低く」入る、ということです。

これは、勢いよく突進してくる相手、あるいはステップを切ってかわそうとする相手に強くヒットし、倒すことを目的にした場合、相手の重心よりも低いところで勝負する必要があるからです。

簡単に言えば、自分より体が大きな相手でも、足下をすくえば簡単に倒れますね。

それと同じような理屈だと思ってよいと思います。

同時に、それだけ低い姿勢でタックルをするには、その状態でも十分な力を発揮できる強靭な足腰がなければなりませんが、それはスクラムでもラックでも同じです。

つまり、低い姿勢で相手に当たる、押し込む、という点で、タックルに低く入ることを身に着けることは、そのほかの場面でも活きてくる、ということです。


2.低く入るとはどんな状態か

ラグビーのタックルは低く入る、と言葉では簡単に言えますが、具体的にはどんな状態でしょうか。

低くヒットする姿勢を体に覚え込ませるためによく行われる、「壁押し」という練習があります。

以下のような手順でやってみましょう。

・まず、壁に向かって膝立ちになり、腕をまっすぐ伸ばして壁に手のひらをつける。

・足の裏で地面をしっかり押しながら、その力を腕を通じて壁に伝えるイメージを保って、足を後ろに下げていく。

・壁を押す手、腕、背中から腰までを一直線にし、地面とほぼ平行にする姿勢を保ちつつ、腰と大腿の角度、膝の角度がほぼ90度になるポジションを探す。

・頭は上げて前を見るようにし、背中から腰は軽く反るように、肩甲骨の上に重りを置いて押し上げているイメージ。

この姿勢を、10秒、20秒、30秒と少しずつ長くとれるようにしていき、慣れてきたら重りを乗せて負荷をかけてもいいでしょう。

この姿勢はタックルだけでなく、スクラムやラックなどでもほぼ応用して使うことができます。


3.低い姿勢で動けるようにする

ラグビーのタックルでは低く入ればそれで終わりということでなく、そのまま相手を押し込むように力を加える必要があります。

つまり、上で説明した低い姿勢のまま、足を動かして押せるようにならねばなりません。

そのためには、タイヤを押す練習をしたり、ダミーを持った相手にタックルして数歩押し込んだり、タックルバッグを使って練習するなど、様々な練習で体に覚えさせることができます。

最初はかなりキツい練習だと思いますが、筋力が付いてくると自分でも驚くほどのパワーを実感できるようになり、タックル技術の上達も早くなることと思います。


4.まとめ

ラグビーはタックルが命です。

それは、タックルが上達すると、スクラムやラック、あるいはモールなどでも、相手を押す力とテクニックが自然と備わってくるからです。

タックルには低く入る、と先人がうるさく言ってきたのは、まさに他の技術にも応用が利くものだからです。

ぜひ、タックルの名手になれるよう努力してください。