フォワードの第二列の二人をロックと呼びます。背番号は4番と5番です。
ラグビー王国ニュージーランドでは、ロックは子供たちに人気があるポジションで、みんながロックをやりたいと言います。
それは、強くて頼りになる男を象徴するポジションとされているからです。
ロックと言えば、どのチームを見ていても背の高い選手が担っていることが多いことに気付くと思います。
ロックは「鍵をかける」という意味で、スクラムで、第一列に鍵をかけるように後ろからしっかりと押すポジション、という意味なのだそうです。
ここでは、ラインアウトでも中心となることが多いロックについてご説明します。
1.ロックのスクラムでの役割
ラグビーのスクラムは、事実上第一列と第二列で押しているような状態になります。
よって、まずはスクラムでの役割が重要だと言えます。
プロップの項でも触れましたが、スクラムは押し込まれると右側が下がって左方向に回転しやすく、回転を防ぎこちらの押しの力をより強く伝えるという意味でも、ロックの二人のうち、普通は背の高い方や体が大きい方を右側(5番)に置きます。
また、最前列で激しく押し合う第一列と異なり、一段下がった位置から押すことになるので、相手の状態を見ながら冷静に押すことができます。
相手を押し込むときには膝をうまく使って押し込み、相手の押し込みに耐えて安定させるときには足を伸ばして耐えるなど、場合によってロックの押し方も変わってきます。
この辺りはロックに特化した技術ですから、しっかりと研究して上達したいものです。
2.ラインアウトでの役割
ラグビーのラインアウトでは、ロックがその中心になります。
スロワーから投げ込まれたボールを奪い合う空中戦は、背の高いロックが活躍する最大の見せ場でもあります。
最近はリフティング(ジャンプした選手をサポートして高く持ち上がった状態にすること)が認められるようになったので、マイボールラインアウトに関しては必ずしも背が高くなくてもよいのですが、相手ボールラインアウトを奪うなどの場合、どこにボールが来るかわからないためリフトすることは難しく、やはり背の高い選手がいることは有利であることに変わりありません。
3.ブレイクダウンのキープレイヤー
ラグビーではいかにボールキャリアーと相手ディフェンスとの接点に早くサポートできるかが重要ですが、ロックはそのサポートも重要な役割です。
特にスクラムからのボールが出た後は、プロップよりも早くスクラムをブレイクしてサポートに走ることになります。
もちろん、スクラム後は第三列のプレイヤーが最も早くサポートするわけですが、その第三列のプレイヤーがパスを受けたりラックやモールに入ると、その次のフェーズでサポートできるフォワードはロックになるのです。
このように、ブレイクダウンに素早く寄ってボールキャリアーをサポートするのも、ロックにとっては非常に重要な役割なのです。
このサポートがうまくできるようになったなら、ロックとしてもフォワードとしてもずいぶん上達したと見なしてよいでしょう。
テレビ中継などをよく見ていると、良いチームは、ロックの選手が積極的にサポートしていることに気付くのではないでしょうか。
4.背の高い選手がロックに多い理由
世界では身長が200メートルほど、体重は110キロほどが平均的なサイズと言われるほど、背が高く大きなプレイヤーが揃っています。
ラインアウトで活躍することを期待されているため背の高い人が多いということなのですが、ラインアウトで活躍するのがロックである必要はなく、ルールで決まっているわけでもありません。
では、なぜ昔からロックがラインアウトの中心を担い、一般的に背が高い人が担うポジションとなったのでしょうか。
フォワードの構成で考えると、まず第一列には、スクラムという至上命題があります。
実はあまり背の高さが揃っていないと、効果的に力を加えることができないため、飛びぬけて背の高い人は使いにくいということがあります。
また、第三列はバックスのサポートなどをはじめ、かなりの機動性を求められるため、体の大きさよりも先に走力などを含めた能力が期待されます。
ロックは、スクラムでは二列目で押すわけですが、背の高いプレイヤーも二列目であれば背の高さが何かの妨げになることはありません。
背が高い選手はラインアウトでチームを有利にする貴重な戦力で、その能力を最大限に発揮してもらうには、ロックのポジションが非常に適しているのです。