攻撃でも守備でも広いフィールドが舞台となるバックスの場合、実に様々な戦術がこれまでも考案されてきました。

スペースが大きいだけに、しっかりした戦術がなければ相手にスキを突かれることにもなりがちですが、きちんと組み立てればサインプレーなども含めて様々な戦い方が可能になります。

今回はバックスの戦術について紹介していきたいと思います。


1.外で攻めるか、中で攻めるか、キックを多用するか

ラグビーのバックスが選択する基本的な戦術として、大まかには

・大きく外まで展開して攻める

・センターでポイントを作りながら攻める

・キックを多用して攻める

という3つに大別されます。

足がすこぶる速いウィングがいるとか、フォワードのスピードが相手を上回っているときなどは、大外を使用して組み立てることができます。

ブレークダウンに先に到達できる確率が高くなるからです。

反対に、センターにコンタクトに強いプレイヤーがいるならば、じっくりとラックやモールを繰り返しながら、最後に大外まで回してトライを取りに行く戦術も有効です。

バックス陣が守備に強く、かつフォワードを上手く使って戦術を組み立てる場合、キックの多用も有効です。

最近のラグビーではキックを多用するようになってきましたが、相手陣深くに蹴り込んで追いついたバックス陣がブレークダウンを作り、そこにフォワードを絡ませる方法もありますし、ハイパントを多用してとにかくフォワードが集まる時間を作っていくこともできます。

バックスはボールを展開するだけではなく、どの部分で戦うのが強みになるのかを考えた戦術を組み立てる必要があり、それを考えられるようになることも上達するうえでは必要な要素です。


2.ラインの人数を増やして攻める

ラグビーの戦術と言うよりセオリーになりますが、バックスの展開で攻めるのであれば、相手のディフェンスラインよりも人数が余る状況を作れば、抜け出せる可能性が高くなります。

例えば、ラックからボールが出てくる直前にスタンドオフがブラインドサイドに走り、マークがついてくる前に攻めることができれば、ブラインドサイドに一人増えたことになります。

また、余っているフォワードをラインに入れるのもいいですし、フルバックを積極的にライン参加させるのも常套手段です。


3.サインプレー

日本で一番有名なラグビーのサインプレーは「カンペイ」でしょうか。

これは、それまでにほぼ守備に専念していたフルバックを攻撃に参加させる点で画期的なプレーだとされてきました。

日本代表でも最近「ミヤザキ」というサインプレーが有名になりました。

これはブラインドサイドのウィングがスタンドオフの後ろに移動し、フルバックとともにもう一つのバックスラインを作る「ダブルライン」の戦術で、試合中に何度も使われることがあります。

ラグビーのサインプレー、とりわけバックスのサインプレーは、特別な時に使うというよりも、軸にすらなり得るプレーであることが多いのです。

「飛ばしプレー」などあらかじめプレーを作っておき、それに名前や番号を付けてサインを伝え、試合で使うとミスが防げます。

自分のチームのバックスの能力を十分に活かせるようなプレーを作り、軸となるサインプレーを作っておくと、戦術のひとつとして使いやすくなります。


4.まとめ

ラグビーの試合に勝つには、戦術的な要素は避けて通れませんが、特にバックスは広いフィールドを担当するため、ばらばらに動いていてはただ疲労するだけになります。

一定の思想やテーマのもとに戦術を作り、それにそった動きを各プレイヤーができるようにするのがよいでしょう。

ラグビーの基本的な技術が上達してきたら、戦術的な面も考えてみるとよいでしょう。