迫力あるコンタクトプレーが魅力のラグビーですが、人々を惹きつけるのはそれだけではありません。

特にバックスのプレイヤーを中心に、守備(ディフェンス)を華麗にかわしながらインゴールに駆け抜ける姿は、一気に観客席を盛り上げます。

ディフェンスをかわすには、一瞬の駆け引きに勝つための動きが必要で、それを可能にするのがステップの技術ですが、その前提として十分なパワーとスピードを生み出す筋力も必要となります。

ここでは、どの筋肉を鍛えることがステップの向上につながるかを解説します。


1.ステップは体全体のコントロールが必要

ステップは足技ですから、主に足の筋肉の鍛え方が上達という意味で重要になることは間違いありません。

しかし、その足の動きに身体全体がスムーズについてくるようにするには、特に体幹部をいかに鍛えるかがカギを握ります。

鍛え方も、ウェイトトレーニングで筋肉そのものを鍛えるほか、その力がラグビーの動きの中で十分に活きるよう動きの中で鍛えることも忘れてはなりません。


2.ウェイトトレーニング

ステップは主として「横」への動きがポイントになりますが、どちらかというと体幹も足も全体的にバランスよく鍛えるべきでしょう。

以下に、具体的なウェイトトレーニングを挙げていきます。

【ウェイトトレーニング】


1.スクワット

最も基本的でよく知られたトレーニングで、大腿四頭筋(腿の前部)、ハムストリングス(腿の裏側)、臀部、ふくらはぎの筋肉などを総合的に鍛えます。

同時に、脊柱起立筋(腰から背中下部の筋肉)や腹筋などの体幹部も鍛えられます。


2.ランジ

スクワットのスタートポジションから、片足を前に出して深く沈み込み、その足を強く蹴って元のポジションに戻る動作を、左右交互に行います。

主に臀部からハムストリングスを鍛え、縦横に動く際に働く中心的な筋肉を鍛えられます。


3.サイドランジ

上記のランジと鍛えられる部分は同じですが、スタートポジションで足を肩幅の倍くらいに開き、左右交互に足を曲げて沈み込む動作を繰り返します。

準備体操で行う伸脚のようなイメージです。

このとき、膝がつま先より前に出ると負担がかかってしまうので気を付けましょう。

ランジに比べ、横への動きにより活用しやすい筋肉の付き方になります。

ランジもサイドランジも、常に上半身がブレないように真っすぐ保つ必要があり、ウェイトを背負って行うことで、自然に体幹部も鍛えることができます。


4.カーフレイズ

片足ずつ、つま先で立っては下ろす、という動作を繰り返し、ふくらはぎの筋肉を鍛えます。

階段など段差を利用するとより効果的です。

ラグビーの細かいステップでは、最後にふくらはぎの筋肉の強さが大切な役割を果たします。


3.筋力を動作に応用するためのトレーニング

ウェイトトレーニングで筋肉を鍛えても、それがラグビーのステップという動作の中ですぐに活きるわけではありません。

運動能力には筋肉を動かす「神経系」が重要な役割を果たしていて、その神経系が上手く筋肉をコントロールできて初めて筋力が発揮されます。

つまり、実際に「使える」筋肉にして初めてステップの上達に結びつくのです。

通常のステップのトレーニングを繰り返し行っていればやがて活かせるようになってきますが、トレーニング段階からラグビーで使う動きに近いものを取り入れると、筋肉のコントロールがスムーズになります。

主に、横への動きに筋力を活かすためのトレーニングは以下のようなものがあります。


1.反復横飛び

誰でも学校の体力測定でやったことがあるでしょう。

ウェイトトレーニングでつけた筋力を、横方向に発揮するために良い練習にもなります。

短い時間(1セットあたり10秒程度)で何セットか、あまり筋肉が披露していない、練習の初めのほうで取り入れましょう。


2.コーンタッチ

自分を中心にした半径1メートル程度の円上に、前後左右と斜め前後、8個のコーン(マーカー)を置きます。

合図された場所のコーンを素早くタッチし、すぐに最初のポジションに戻ります。

合図を出す人は、スタートポジションに戻るか戻らないかくらいのタイミングで次の合図を出し、できるだけ素早く動くように指示します。


3.ラダードリル

陸上競技で行われるコーディネーション系トレーニングで、ハシゴ(ラダー)のような器具を使うことからこのように呼ばれます。

足の細かな動きを身に着け上達させるには最適です。


4.まとめ

ラグビーのステップは簡単に言えば走る方向を急激に変化させるスキルですから、思っている以上に筋肉を酷使します。

十分に鍛えられていないと、イメージ通りの動きにならないほか、けがにもつながりかねません。

しっかりとトレーニングを重ね、ステップを上達させましょう。