ラグビーのことを良く知らない人でも知っている有名な言葉があります。

「ノーサイド」という言葉と、「All for One, One for All」という言葉です。

実はこれらの言葉も、日本でよく言われている通説とは全く違う真相があるのを知っていますか?

今回は「ノーサイド」について触れたいと思います。


1.ノーサイド

ノーサイド(NO SIDE)といえば、ラグビーで試合終了時に使われる言葉です。

ラグビー以外の場所では、「試合が終われば、敵味方のサイド、そして勝ったサイドも負けたサイドもなく、お互いを称え合おう」というような意味で使われることが多いでしょう。

とてもいい言葉だと個人的にも思いますし、それが誇らしく思えるがゆえにラグビーに打ち込み、上達を目指す人も少なくないでしょう。

ところで、日本のラグビーでは確かに試合終了時にレフェリーが「ノーサイド」と言うことが多かったのですが、最近はあまり聞かなくなったという声もあります。

また、世界のラグビーでは随分前からこの言葉は使われていないようなのです。

そこでいろいろ調べてみると、興味深いことがわかってきました。


2.「ノーサイド」は日本だけ

どうやら、実際に今も試合終了時に使っているのは日本だけのようで、世界では試合終了は「FULL TIME(フルタイム)」と言うのが一般的になっているようです。

しかも前述のように、日本でもほとんど使われなくなりつつあるそうです。

世界で使われなくなっても長らく日本で使われてきたのは、その背景に理由があるということもわかってきました。

ラグビーでは、アフターマッチファンクションと言う独特のイベントがあります。

試合を終えた両チームの選手や関係者が集まって、お互いの健闘を称え合う簡単なパーティーのようなもののことです。

つまり、ラグビーの試合というのはこのアフターマッチファンクションまでを含めて考えるのが本来の姿なのです。

ラグビーの試合を観ていると、激しくぶつかり合い時には興奮してラフプレーなども生じることがよくあるわけですが、それでも試合の後には敵味方の区別なく交流し、お互いに敬意を払うというのがラグビーであり、これこそがノーサイドの精神と言えるでしょう。

かつてこうしたラグビー独特の文化に感動した日本チームの関係者が、この伝統を日本に持ち帰ったことからノーサイドという言葉が広まったと言われています。

そしてこの精神は日本人の伝統的な美学にもぴったりと合致したため、日本では脈々とこの言葉が受け継がれてきたということのようです。

精神的な意味でも、日本人選手たちのラグビー上達を願ったということでしょうか。


3.ノーサイドの精神は今も内在している

では、この精神が世界では失われたのかと言えば、そうではないことはラグビー関係者なら分かるはずです。

ノーサイドという言葉そのものは使われなくなっても、その精神はしっかりとラグビーというスポーツの中に生きているのです。

だからこそ、今もずっとアフターマッチファンクションのようなイベントはしっかりと受け継がれていると言えます。


4.まとめ

2019年には、日本でワールドカップが開催されます。

いっそこの機会を利用して、日本から世界へ「ノーサイド」という言葉を復活させるようなムーブメントを起こしても面白いかもしれません。

日本では敬意と愛を込め、誇りを持ってこの「ノーサイド」と言う言葉を大切に守ってきたというのは、世界に訴えるに十分な説得力があるでしょう。

こうした精神を、これからもずっと受け継いでいきたいものですね。

そして、日本人ラガーマンの更なる上達、レベルアップを期待したいものです。