フォワードの筋トレについてお話したときにも触れましたが、基本的には、フォワードはパワーを必要とする場面が多く、バックスはスピードが必要とされるものの、現代のラグビーでは両者の間に明確な区別はなくなってきているとも言えるでしょう。

バックスは広いフィールドを使ってボールを展開するスピード感あふれる攻撃を担う一方で、キックの処理も含めたディフェンスを担うことが主な役割とも言えますので、それに適したトレーニングも必要です。


1.しっかりとした下半身を作る

ラグビーのバックスは攻撃でも守備でも、走ることが非常に多いポジションです。

上でも触れた通り、ディフェンスを担うことが多いのでタックルに耐え得る身体を作ることも上達への近道でしょう。

まずは、しっかりした下半身を作る筋トレです。

メニュー的にはステップのトレーニングで紹介した筋トレとそう変わるものではありませんが、おさらいもこめてもう一度紹介します。


1.スクワット

大腿四頭筋(腿の前部)、ハムストリングス(腿の裏側)、臀部、ふくらはぎの筋肉などを総合的に鍛えます。

同時に、脊柱起立筋(腰から背中下部の筋肉)や腹筋などの体幹部も鍛えられます。

実際の動作を考えると、フル(完全にしゃがみ込む)よりも、ハーフ(膝の曲がる角度が90度くらい)で押さえ、より重いウェイトを扱うほうがよいでしょう。


2.ランジ

スクワットのスタートポジションから、片足を前に出して深く沈み込み、その足を強く蹴って元のポジションに戻る動作を、左右交互に行います。

主に臀部からハムストリングスを鍛え、縦横に動く際に働く中心的な筋肉を鍛えられます。


3.サイドランジ

上記のランジと鍛えられる部分は同じですが、スタートポジションで足を肩幅の倍くらいに開き、左右交互に足を曲げて沈み込む動作を繰り返します。

横にもスピードが求められるバックスは、特にこのサイドランジのような筋トレを入れると、一段違ったプレーが可能になるのではないかと思います。


4.カーフレイズ

階段などの段差を使い、片足ずつ、つま先で立っては下ろす、という動作を繰り返し、ふくらはぎの筋肉を鍛えます。


5.ヒップレイズ

床に寝た状態から片脚を90℃くらいに曲げ、その足の裏で地面を踏ん張りながら、腰を押し出すイメージで上に上げます。

走るスピードに重要な、ハムストリングから臀部を鍛える筋トレです。

腰を上げるとき、背中はできるだけ地面から離れないように気をつけてください。


2.走る動作の中で筋肉を使えるようにする

鍛えた筋肉は、実際のラグビーの動作の中で力を発揮できるようにすることが大切です。

通常の筋トレに組み合わせて、以下のようなトレーニングをすると効果的です。


1.坂道上がり

傾斜30度くらいの坂道をダッシュします。

50~100メートルほどの距離を1本にして、10本程度でもいいでしょう。

ラグビーではタックルに強い走り方として膝を上げたランニングが効果的ですが、上り坂を利用すると自然に身に着きます。


2.坂道下り

こちらは、傾斜が10度以下の緩い坂を利用します。

できれば100メートルくらいの距離を取り、10本くらいこなしましょう。

坂道を下ることで自然にスピードがつき、自分が持っている以上のスピードに筋肉の動きが付いていくようにする、神経系のトレーニングです。


3.ラダートレーニング

ハシゴのような器具を使ったトレーニングで、細かい足さばきを身に着けるトレーニングです。

筋トレで鍛えた筋肉を、バックスが必要とする様々なラグビーの動きに対応させるのに役立ちます。


4.ミニハードルトレーニング

ラダーと並んで陸上競技でもよく使われるトレーニングです。

筋肉の動きを瞬発的に発揮するために行われます。


3.身体を守るための筋トレも

ラグビーのバックスは、比較的スピードに乗った相手をタックルする場面も多く、それだけ強い衝撃を受けます。

よって、身体を守るという観点からも、フォワードの筋トレでも紹介した。首回りや肩の筋肉を鍛えるトレーニングもしっかりとやっておいてください。

できれば、肩関節のインナーマッスルなども鍛えておくと怪我をするリスクが大きく下がるでしょう。


4.まとめ

フォワードもバックスも、ラグビーで上達するには筋トレは欠かせませんし、メニューもそう大きく変わりません。

ただ、繰り返しになりますが、筋トレで鍛えた筋力をしっかり動作の中で活かせるよう意識してください。

筋力をつけると、それまでできなかったプレーが急にできるようになることもありますし、安定感が出てくることもあります。

上達に向けて、グラウンドでの練習と並んで、トレーニングの時間もしっかりと確保して取り組みましょう。