ここまで、ラグビーにおいてタックルは基本的かつ重要な技術だというお話をしてきましたが、どうしてもタックルが上達せずに困っているということはよく聞く悩みです。
とはいえ、タックルがなかなか上達しない人には共通した要素があるのです。
それさえ克服してしまえば、驚くほどタックルが上手くなるでしょう。
1.恐怖心の克服
果敢なタックルを邪魔する大きな要素は、恐怖心です。
フルスピードで走ってくるバックス、大きな体でよけようとすらせず突進してくるフォワード。
初めはどんな選手でも、タックルは怖いと思う瞬間があるはずです。
まれに、「相手にも怪我させてしまうのではないか」と思ってしまう優しい人もいるかもしれませんが…
とにかく、まずはこの恐怖心を乗り越えることが大切です。
恐怖心の元になるのは、人に対して当たる、当たられること、そして「痛い」という感覚を恐れる気持ちです。
痛いのはある種、ラグビーをやる以上逃れることはできませんが、できるだけ痛さを避けることはできます。
タックルが下手な人は、いわゆるこの「上手な当たり方」をまだ覚えていないのではないかと思います。
そのための練習は、「人に当たることに慣れる」しかありません。
最初は、タックルダミーなどを使ってしっかりと形を身に着けることを重視してください。
それができてきてから、対人練習に入ります。
はじめはボールを持った相手に、斜めにゆっくり走ってもらい、相手の斜め前からタックルに入る練習をしましょう。
実際にタックルに入る際もスピードは必要ないので、2~3歩で当たれる距離で、繰り返し練習してみましょう。
徐々に、人に当たることに対して抵抗がなくなってくるはずです。
2.ゲーム形式
人にタックルすることに抵抗がなくなってきたら、実戦形式に近いものにしていきます。
実戦に近い状況で練習すると、上達も早くなりますので、自分はタックルが下手だと思っている人には怪我をしない範囲でできる限りこうした練習を取り入れてほしいものです。
最初は、10メートル四方のグリッド内で2対2のタックリングドリルを行います。
これは、10メートル正方形の一辺に攻撃側、向かい合うもう一辺に守備側として2人ずつはいり、攻撃側は守備側のスタート地点にトライすれば勝ち、守備側は相手を2回タックルして止めれば勝ち、という練習です。
攻撃側は、パスでもクロスプレーでも何でも駆使して、タックルを2回されないように相手を抜くことを考えてください。
守備側は、とにかくボールを持った相手にタックルに入ることだけを考えます。
慣れてきたら、3対3に増やしたり、7対7のミニゲームをやってもいいでしょう。
この練習をやると、タックルが上手い人と下手な人の差を間近で見ることができますので、自分が入っていないときでもとても勉強になります。
3.体が流れてしまう人も注意
恐怖心のほかに、タックルが下手な人の要素はもう一つあります。
それは、相手に飛びつくようにタックルに入り、身体を投げ出してしまうようになってしまうことです。
飛びつくような形でタックルに入ると、そのあと足で地面を押して相手に力を伝えることができません。
相手を掴むことはできても倒すことはできず、場合によっては相手に振り払われてそのまま走られてしまいます。
タックルに限らず、コンタクトする瞬間は足がしっかり地面をとらえている必要がありますし、タックルではファーストコンタクトのあと以下に足を掻いて力を加え続けられるかということが重要です。
上で紹介した練習を行う際には、身体を投げ出さないようにすることを忘れずにしましょう。
4.まとめ
恐怖心を乗り越えることと、身体を投げ出さないこと、この二つを実行するだけで、タックルは目に見えて上達するはずです。
自分はタックルが下手だな、と思っているならば、まずこの二つの要素のことを考えてみましょう。
タックルに入れるようになると、そのほかのコンタクトプレーは全て怖くなくなるはずです。