ラグビーのスクリューキックは、飛距離を稼ぐという意味ではとても役に立つ技術です。

しかし、最近のラグビーの試合を見ていると、あまりスクリューキックを蹴らないシーンも多くなってきました。

これは、スクリューキックはカーブする性質があるのですが、その軌道が毎回予測しにくいからです。

しかし、場合によってはカーブをかけて蹴ることができれば展開を有利に運べる場面ももちろんあるのです。

ニュージーランドオールブラックスのスタンドオフ、ダニエル・カーター選手は、コンバージョンキックの際に本来とは逆にカーブをかけたキックを蹴ることができますので、一度動画を探してみると良いでしょう。

ここでは、ラグビーでカーブをかけたキックを蹴る方法について、少し見ていきたいと思います。


1.スクリューキックの曲がり方

さて、スクリューキックは実際に蹴るまでカーブの予測が難しいとはいえ、蹴ってからの軌道を見ればある程度落下点を予想することはできます。

スクリューキックの場合、大まかにはボールの先端が向いている方向に曲がっていくことになります。

たいてい、右足で蹴ると左方向に、左足で蹴ると右方向に曲がることが多いようですが、反対側に行くことも珍しくはないようです。

その意味でカーブの方向はかなり上達した選手でも予想しにくいのですが、タッチなどを狙わず敵陣に深く蹴り込む時にはあまり気にする必要もなく、むしろ相手が取りにくいカーブ軌道になればラッキーです。


2.縦回転をかけてカーブさせる

ラグビーはボールが楕円形なので、キックの種類も多彩です。

カーブをさせることを考える場合は、原則として縦方向の回転(プレースキックのときにかかる回転です)を活かす方法を使います。

原理はサッカーの選手がカーブをかけるときと同じです。

ボールが進む方向に対して右に曲げたければ右回転をかけ、左に曲げたければ左回転をかけますね。

ラグビーの場合は、ボールの長軸を曲げたい方向とは逆に傾けた状態で、長軸が順方向(前)に回転するようにキックすると曲げたい方向にカーブをかけることができます。

イメージとしては、ボールの長軸を横にした状態で、サッカーボールにカーブをかけるときの蹴り方と同じようにキックすればよい、ということです。


3.カーブをかけるキックはかなり難しい

原理としては理解しやすいと思いますが、実際にラグビーのボールでカーブを意図的にかけたキックをするのは、相当に高い技術を必要とします。

かなり上達したキッカーでも、自由自在にカーブをかけるのは難しいでしょう。

よって、時間がかかるものだと思って、じっくり練習してください。

回転のかけ方が特殊なので蹴り方もいろいろあるようですが、参考までにパントキックの例でひとつだけ紹介しておきます。

まず、ボールの落とし方が重要なのは普通のパントと同じですが、ボールの持ち方が違います。

右足で蹴る場合、ボールの先端を少し右側(外側)に向けて落とし、ボールの中心からやや手前にミートするイメージでキックします。

ボールには順方向の縦回転がかかるため、右側に曲がっていくこととなります。

左側に曲げるのは、右足では至難の業です。

左足でキックする練習を積むか、スクリューをかけたキックで曲げるほうが成功率が高いでしょう。

ちなみに、この原理はコンバージョンキックなどでも同じです。

地面にプレースした状態のほうがイメージを作りやすいかもしれませんので、冒頭に挙げたダニエル・カーター選手のキックを参考に練習してみてください。


4.まとめ

ラグビーでは、特に意図していなくてもキックしたボールにカーブがかかることがあれば、意図してカーブをかけようとしてもなかなか思い通りにはいかないことも多くあります。

どんなに上達しても、思うようにいかない動きをするのがラグビーのボールです。

それがまた、ラグビーというスポーツを面白くしているのでしょう。