これまでは技術やトレーニングなど練習を中心に解説してきましたが、ラグビーに関する豆知識も、ラガーマンにとって覚えていて損はないでしょう。

ここからしばらく、ラグビーの歴史やうんちくについていろいろとご紹介していこうと思います。

まずはラグビーの歴史ですが、通説とはちょっと違う内容かもしれません。


1.発祥に関する有名な話は実は真実ではない

ラグビー技術そのものの上達にはあまり直結しないかもしれませんが、ぜひ知っておいてほしい「本当の話」があるのです。

まず、おそらくほとんどの日本人にとっては、ラグビーの発祥については以下のようなエピソードが有名なのではないでしょうか。

「イギリスのラグビー校行われていたサッカーの試合中に、ウェッブ・エリスという少年が手でボールを持って走り出した。」

これはラグビーの歴史の起源としてとても有名な話ですが、実際のところ、これが実話であるという証拠が残っているわけではありません。

しかもこのエピソードは、エリス氏が亡くなった後に出てきたものとされています。

こうしたことからこのエピソードは、ラグビーというスポーツを世界に普及していくために、後の時代になってから作られたストーリーであるという説が世界的には有力となってきています。


2.紳士のスポーツ

ラグビー発祥の地であるイギリスで広く行われていたのがフットボールというスポーツですが、実はこれには統一されたルールがなく、それぞれの街や学校などのチームごとに独自のルールが作られていました。

対外試合を行う時ももちろんあったわけですが、その時には両チームのキャプテン同士が、どのようなルールで試合を進めるかを事前に話して決めていたようです。

そうした様々な形が存在するフットボールというスポーツの中で、「ラグビー校」というパブリックスクールで行われていたフットボールが、今のラグビーの原型になったとされています。

次第にルールが整備されていき、現在のような形に近いものとして完成したのが1871年です。

かつてはキャプテン同士が話し合って決めたルールに沿って、レフェリーもおらず、プレイヤー自らが良し悪しを判断しながらゲームに臨んでいたという背景もあってか、ラグビーではルールについて、反則したら罰を与えるというよりも、ゲームを進める上で大切で自ら順守すべきものととらえる文化が歴史的に作られてきたということでもあるのです。

今で言えば法律の趣旨を理解して自らきちんと守り、正々堂々と競い合うということにななるわけですが、こうした文化がラガーマンの矜持として歴史を経ながら受け継がれてきたわけです。

ラグビーが「紳士のスポーツ」といわれるのは、こうした理由からなのです。


3.まとめ

あの有名なエピソードが、実は後の時代から作られたものだったという説が有力なのはなかなか興味深いことと思います。

一方で、初めから自律を重んじる文化的、歴史的背景があって成り立ったのがラグビーというスポーツだったということも、また面白い発見ではないでしょうか。

成り立ちを知ることでラグビーにより興味を持つことができれば、練習にもまた新たな気持ちで臨むことができ、上達するのも早くなるかもしれませんね。