ラグビーにおいては、第一列と呼ばれる両プロップとフッカー、とりわけ、プロップの重量と力強さで、スクラムの強さがほぼ決まると言って良いでしょう。
対面する相手プロップより有利になるには、スキルとフィジカルで上回る必要があります。
そのため、普段からのトレーニングで肉体改造をする必要があるのです。
1.スクラムの強化
スクラムマシーンを使って、スクラムの練習をするわけですが、この際は、正しい姿勢の確認と、8人、もしくは、前3人の力を合わせる練習です。
スクラムを組む際に、相手を上回るために必要な筋力は、主に、首、肩の筋力、腕力、握力、背筋力、そして、大腿部の筋力です。
フィジカルUPのためにウェイトトレーニングをやる必要があります。
スクラムを組んだ際に、対面する相手と首を組み合うのですが、お互いに首を持ちあげて、相手の背中を丸めさせようとします。
ロックやナンバーエイト、フランカーからの縦の力を、相手プロップの背中を曲げさせることによって、遮断することができるかです。
ですから、プロップが組み勝つためには、頭を上げ、背中を曲げない姿勢を保つことが重要で、そのことで後ろからの力をまっすぐ伝えることができます。
スクラム上達のためには、首の力と背筋が特に必要とされるわけです。
2.走力UPのトレーニング
現代ラグビーでは、プロップも、スクラムを押すだけではなく、ラインに入って、ポイントとなる縦の突進や、さらに短い距離でも、ゲインライン突破の走りが求められて来ています。
プロップは、スクラムを組んだ後、最後に離れることからも、モールやラックに到達するのに時間がかかります。
逆に、サイド攻撃やフェーズを重ねるにつれて、ラインに入って、攻撃の核となって、ポイントを作ることが求められているのです。
そのために必要な走力をつけるトレーニングは、ごく短い距離のスピードを付けるということになります。
体重の重いプロップにとって、長い距離を走ることは、身体の負担になります。
バックスの選手と同じ様に長い距離を走っていては、膝を痛めてしまいますし、心肺機能や心臓にも負担が大きいのです。
短い距離のスピードを上げるトレーニングを繰り返しすることで、身体に優しく鍛えることができます。
そして、実戦においては、瞬間的なスピードアップができるようになり、上達すると、ラインブレイクのキーマンになるはずです。
3.モール・ラックの練習
ミニゲームなどで、実戦に近い練習をすることも大切ですが、シミュレーションで、動き方や球の受け渡し、モールの動かし方や、ラックの際の球の出し方などを練習することが重要です。
特にモールにおいては、プロップが壁になって、前に進むことよりも、立っていることと、ボールをキープすることを重視するようにしてください。
4.まとめ
現代ラグビーは、比較的狭いゾーンでの攻防が陣地を確実に前進させることにつながるという考えになってきています。
その時重要なのが、その密集戦でいかにプロップを活用させるかです。
最近では、長い距離を走るプロップよりも、瞬間的に前に進む力のあるプロップという姿が求められています。
スクラムの最前列で力の攻防をやるプロップは、首、肩、背中、腰、太ももに強い衝撃と、力が集約するため、普段のトレーニングで、特にウェイトトレーニングで筋肉の鎧を付ける必要があるのです。