ラグビーは一種の陣取り合戦ですから、相手陣にいかにボールを長く押し込めるかがひとつの鍵になります。
特に最近は、キックを相手陣にどんどん蹴り込み、できるだけ相手陣内でプレーする試合展開が多くなりました。
ここでは、フェアキャッチの意味とその方法を説明します。
1.フェアキャッチとは
ラグビーのフェアキャッチは、「自陣22メートルラインより後ろ側(自陣ゴール側)で、相手チームがキックしたボールをノーバウンドでキャッチすると同時に「マーク」と叫ぶ」ことで成立します。
フェアキャッチが認められると、キャッチした地点からFK(フリーキック)が与えられます。
なお、PK(ペナルティーキック)と違い、FKはフェアキャッチを行なったプレーヤー自身が蹴ります。
また、キャッチしたプレーヤーが怪我するなど、キャッチしてから1分以内に蹴ることができない場合はその場でキャッチしたチーム側のボールのスクラムとなります。
2.フェアキャッチの意味
通常は相手のプレッシャーがある中でキックを蹴らなければならず、安定してキックができない場面も出てきますが、フェアキャッチをするとFKとなり一度プレーが止まるため、自分のタイミングで落ち着いて蹴ることができます。
特に蹴り合いになった場合は、味方のフォワードがボールの後ろまで戻りきれないうちに相手のプレッシャーが掛かるなど、フォローの体制を整えられていないにも関わらずコンタクトプレーになることもあります。
キャッチした選手がタックルされたときにフォワードがそこまで戻っていないとボールを奪われる危険性も高く、特に自陣22メートルラインより自陣側では、ひとつのミスが失点につながってしまいます。
自陣深くでキックをボールをキャッチする場合、落ち着いてフェアキャッチし、チームの体制を整えることは非常に有効です。
ラグビーでは、フェアキャッチが適切にできるかどうかは、キック処理に深く関わるバックス陣(特にウィング、フルバック)にとって、ラグビーというスポーツ自体への理解度の上達という点でも大切です。
3.まとめ
フェアキャッチは地味なプレーですが、使う場面によって非常に重要な意味を持つこともあります。
ラグビーにおいてボールを自陣深く蹴り込まれるということは、後ろでキャッチしたプレイヤーは基本的にフォローできる味方がいない状態になっているということでもあります。
スポーツの鉄則は、まず「失点しないこと」が重要だとよく言われますが、フェアキャッチは失点のリスクをまさに最小限に抑えるために必要なテクニックであり、特にバックスの選手にとってはラグビープレイヤーとして上達したことを示すひとつのチェックポイントでもあります。
ときどき「マーク」と叫びながらボールをキャッチする練習を組み込んで、必要なときに確実にフェアキャッチできるようにしましょう。