フォワード第三列、スクラムの最後尾にいて、オールマイティーな活躍を求められるのがナンバーエイトです。

フォワードとしてのパワーと、バックス並みの走力、そして状況を冷静に判断する力が求められます。

ここでは、ナンバーエイトについて見ていきましょう。背番号はもちろん、8番です。


1.ナンバーエイトのスクラムでの役割

ロックの項でも触れたように、ラグビーのスクラムは、事実上第一列と第二列で押しているような状態です。

第三列はあくまで補助的な力の加え方になるのですが、特にナンバーエイトは、押すことに加えてスクラム全体の状況を見る必要があります。

マイボールスクラムであれば、ボールを出した後に素早くスクラムをブレークしてサポートに走るだけでなく、場合によってはスクラムからのボールを拾いサイドアタックを仕掛けることもあります。

このように、スクラムにおいてナンバーエイトは、より有利になるであろうプレーを判断して選ぶことになります。

また相手ボールスクラムでも、相手がサイドアタックをしてきた場合は素早くタックルに入り、バックスにボールが回ればすぐにカバーディフェンスに走るということになります。

ラグビーのポジションの中で、もっとも忙しいと言えるかもしれません。


2.バックスの補完的役割

近年はキックの蹴り合いになることが多くなっています。

キックの処理は通常、バックスのバックスリー(ウィング、フルバック)が担いますが、何度も蹴り合いが続き、キャッチしたバックスのプレイヤーがボールを持って攻め上がると後方のプレイヤーがいなくなります。

機動力に優れたフォワード第三列のプレイヤーは、そのフォローとしてキック処理を行うこともよくあります。


3.サポートも重要な仕事

ラグビーにおけるサポートの重要性は何度も触れていますが、スクラムブレイクが最も早いナンバーエイトは、スクラムの後のブレイクダウンにはほぼ必ず、一番最初にサポートに行くはずです。

ナンバーエイトの選手は走力も突破力も優れたプレイヤーばかりですから、サポートもラックやモールを形成するだけではなく、パスを受けて走るのも相手にとっては脅威です。

ラックやモールからでも、機動力、走力を生かした素早いサポートはチームにとっては欠かせない能力なのです。


4.ディフェンス

ナンバーエイトは、バックスのディフェンスラインの後ろを補うカバーディフェンスや、スクラムやラック、モールからのサイドアタックに備えるなど、ディフェンスの能力も求められます。

特に、スクラムからのサイドアタックは、フランカーかナンバーエイトが対応できなければ大きなゲインを許します。

また、ラックやモールから相手フォワードがアタックしてくる場合など、体の大きなフォワードをきっちりと止めるには、同じくフォワードが対応する必要がありますが、機動性に優れたナンバーエイトは、そうした状況にも常に直面するでしょう。

相手を一発で仕留められるタックルの技術、他のプレイヤーのフォローなど、ナンバーエイトにはディフェンスの技術もまた、高い水準を求められるのです。

他のポジションに比べ、特にタックル、ディフェンスの上達が必要なポジションです。


5.まとめ

スクラムに参加し、味方のサポートに走り回り、自らもボールを持って走り、ディフェンスでも高い水準を求められ、さらには状況に合わせた判断力も求められるという、スーパーマンのような仕事を求められるポジションです。

チームの中でも特に身体能力に優れた選手が担うことが多いようです。

ナンバーエイトに選ばれたならば、人一倍熱心に練習に取り組み、適切な状況判断のための勉強などにもしっかりと時間を割いて、ラグビーに必要な体力とスキルをどんどん上達させましょう。