フランカーの役割と動き方の記事まではフォワードについて解説してきましたが、ここからはバックスについて説明していきます。
バックスといえば、80年代~90年代の早稲田大学「展開ラグビー」が有名です。
フォワードのパワーで押すラグビーに対し、バックスで華麗にパスを回し、スピードあふれるプレーの連続でトライを量産していきます。
今はフォワード中心の組み立てを行うチームが多くなりましたが、バックスのランニングプレーがよく会場を沸かせることもあります。
そして、チームのゲームメイクを主に担当するバックスが、ハーフバックと呼ばれるポジションです。
1.ハーフバックとは
ハーフバックとは、すなわちスクラムハーフとスタンドオフのことを言います。
ちょうど、フォワードとバックスの間のつなぎ役としても機能する位置にいるため、チームの一番後ろにいるフルバックに対して、ハーフバックと呼ばれます。
ラグビーはボールの奪い合いがすべての基礎にあるわけですが、スクラムやラック、モール等で奪ったボールをどうするか、ということを決めるのが、ハーフバックの二人だということになります。
正確なパスとキック、何より的確な判断力が必要とされるため、体があまり大きくない選手も多く活躍しているポジションです。
2.状況をいかに冷静に読めるか
ナンバーエイトも状況判断に優れている選手がやるべきポジションですが、ハーフバックの判断力の種類はまたそれとは別かもしれません。
ナンバーエイトの場合、自分がどう動くべきなのか、ということに関する判断が多いのですが、ハーフバックの場合は「他のプレイヤーをどう使うべきなのか」ということを考えるからです。
それが、ハーフバックがラグビーの司令塔と言われる理由でもあります。
よって、サインプレーも含めたチームの戦術をよく知っておくだけでなく、どの場面でどんな戦術を使うべきかということについてもシミュレーションしておく必要があり、頭の面でも上達しなければなりません。
3.良いコンビであることが必要
ハーフバックとひとまとめに呼ばれるくらいですから、優秀なスクラムハーフとスタンドオフのコンビには、ある種の以心伝心のようなものがプレーに出ています。
めまぐるしく変わる状況に合わせて瞬時にベストの選択をしなければなりませんが、ラグビーの試合中に話をしている暇は当然ありません。
二人の考えが大きく違っていると、バックスにボールが出てきても、プレーが一瞬遅れたりミスが出やすくなることもあるのです。
ハーフバックの二人の呼吸が合っていると、バックスへの展開やキックによる攻撃などもリズムよく流れるように進んでいきます。
普段の練習からコミュニケーションを密に取り、こういう場面ではこうしたほうがいい、という話を積み重ねておくことも大切です。
コミュニケーションが取れているということは様々なことについてよく考えているということでもあり、それがラグビーへの理解をより深くして、上達も早くなるかもしれません。
4.特に勇気の必要なポジション
激しいぶつかり合いを伴うラグビーにあって、体の大きな選手に小さな選手が当たりに行くのは強い恐怖感を伴うものです。
しかし、バックスの中では最もフォワードに近いところでプレーし、かつフォワードがアタックしてきやすい場所にいるため、実はフォワードをタックルしなければならない機会も他のバックスより圧倒的に多いのです。
ハーフバックは、ディフェンス、タックルにも優れていなければならないポジションであり、しかもフォワードとも真正面から対峙しなければならない、勇気を必要とするポジションとも言えるでしょう。
5.まとめ
ハーフバックは、常に冷静さを求められます。
前述の通りタックルもうまくなければなりませんし、フォワードの密集に巻き込まれることもありますが、どんな状態になっても落ち着いて状況を把握し、ゲームを組み立てなければなりません。
次の記事で、スクラムハーフとスタンドオフをそれぞれ紹介していきます。