ラグビーのディフェンスでは、ボールキャリアーの動きにしっかりとついていき、タックルすることが求められます。
ただ、走力に優れたプレイヤーはステップなどの技術を上手く使い、そうそう簡単にはタックルさせてくれません。
ここでは、ディフェンス時に相手のステップに惑わされずにタックルに入るための基礎をお話ししましょう。
1.見るのは「腰」
まず、ボールキャリアーのどこを見ていればよいか。
前にも触れたことがありますが、必ず「腰」を見るようにします。
かわすのが上手いプレイヤーは、必ず上半身や足の動きでフェイク(ディフェンスをだます動き)を入れてきます。
それを見ていると、動きに騙され抜かれてしまうリスクが大きくなるのです。
しかし、上半身や足がどんな動きをしていても、ほとんど動かない場所があります。
それが「腰」なのです。
それは、腰が上半身と下半身の結節部にあり、ここが動くということは、身体全体が動くことになるからです。
加えて、腰を見ていることで視界の周辺でボールを見ることができます。
つまり、腰を見ていれば相手の動きについていけるだけでなく、相手がパスをするのか、そのまま走ろうとするのか、判断することもできるわけです。
2.タックルに入るまでは8割で走る
ステップは、ディフェンスの勢いを利用し、自分が行くべき方向と逆方向にその勢いを流す原理で守備をかわす技術です。
全力で走っていれば、簡単には方向転換することはできません。
実はステップを使うボールキャリアーも、ステップを切る前の1、2歩は一瞬力を抜いてスピードを調整しているのです。
よって、ディフェンス側も相手がタックルの間合いに入るまでは全力ではなく、8割程度で走るようにします。
感覚としては、100メートル走を走る時、隣で走る人を観察しながらフルスピードで走るときの意識に似ているでしょうか。
つまり、フルスピードだけれども気持ちに余裕がある感じです。
こうすることで、相手がステップを切って急激に逆方向に動いても、対処しやすくなります。
3.ディフェンスも「ステップ」の練習は必要
さて、ラグビーのボールキャリアーの細かい動きについていくには、ディフェンス側も細かく動ける能力を身に着けておく必要があります。
これまでに紹介したステップの練習は、実は攻撃に特化したものではなく、ラグビー選手として上達するために必要な基礎的なものばかりで、頭の中でイメージした細かい動きを実際に行うための土台となる動きを習得することを目的にしています。
よって、ステップの練習は実は攻撃時のためだけのものではなく、守備時にも相当に活きてきます。
バックスだけでなくフォワードの選手も、ぜひステップの練習は週に何度か取り入れてみてください。
ウェイトトレーニングで筋肉を鍛えても、それがラグビーのステップという動作の中ですぐに活きるわけではありません。
4.まとめ
上で触れたように、ラグビーでは攻撃でも守備でも、細かな足の動きはとても重要な要素になってきます。
ボールキャリアーとしてだけでなく、ディフェンスにおいても必ず活きてくる技術になりますから、ステップの練習にはできるだけ時間を取って上達できるようにしてください。
また、ステップなど瞬発系の動きはいかに素早く動けるか、その動きに神経系を慣れさせるか、という点が大事ですので、一日の練習のうち早い段階で取り入れ、筋肉疲労が極力少ない中で行うようにしてください。