ラグビーの密集プレーにはスクラム、ラック、モールがありますが、中でもモールはプレイヤーが立った状態で形成されるため、ボールを保持したまま相手を押し込んだりすることもできます。

ラックは素早くボールを出すのに向いていますが、モールは自チームと相手チームにパワーの差がある場合に特に有効な武器になります。

ここでは、モールについて見ていきましょう。


1.モールの定義

ラグビーの試合を見ていて「よくわからない」と言われるもののひとつに、モールがあります。

モールの定義は、「ボールを持ったプレイヤーを中心にして、両チーム合わせて3人以上が立った状態で組み合うこと」ですが、ボールを持ったプレイヤーの味方が1人、敵が1人でなければなりません。

敵チームのプレイヤーが2人、ボールを持ったプレイヤーに絡んでも、モールではありません。

分かりやすく言うと、ボールを持ったプレイヤーを挟んで、味方と敵が1人以上ずつ押し合うような形になればモールが成立する、ということです。


2.モールでの留意点

37.で触れたとおり、モールではいかに味方同士が密着してバインドできるかが、力を発揮するための重要な要素です。

モールを崩したり、モールの上に飛びかかったりするのは反則となります。

また、モールで押し込まれているからといってそれを止めるためにタックルをしたり、腰より低い位置に入って崩すような状態にするのも反則となります(コラプシング)。


3.強いモールを形成するには

モールが形成されると、ボールが出ない限りは相手チームとの押し合いになります。

このとき、新たにモールに参加するプレイヤーは、横ではなく縦に繋がるイメージで参加するほうが良いでしょう。

モールが横に広がってしまうと、それだけ前に押す力が加えにくくなります。

縦に繋がるように参加すると、力が無駄なく前に伝わるようになります。

できるだけ低く入ってバインドするべきですが、味方の腰より低く入るとモールが崩れる恐れもあるので、腰のちょっと上くらいを目指すと良いでしょう。

上達してくると、次第に効果的な押し方、モールへの入り方がわかるようになるはずです。


4.モールでの駆け引き

モールでは、ボールを持つチームの方が力が強ければ、延々と相手を押し込むことができます。

モールの前進を止めるには、モールへの参加人数を増やすしかありませんが、モールへの参加人数を増やすということはそれだけディフェンスライン上にいるプレイヤーが減ることになり、外にボールを回されれば不利になります。

反対に、モールの前進を相手よりも少ない人数で止めることができれば、その分ディフェンスラインは有利になります。

ラグビーでは基本的にフォワードの勝負で勝つ方が圧倒的に有利になりますが、その主な要素の一つとして、こうしたモールでの駆け引きの側面も挙げることができます。


5.まとめ

モールは主にフォワードの仕事ですが、バックスで展開しているときなどフォワードのフォローが遅れることも十分にあり、その場合はバックスのプレイヤーがモールに入るのも珍しくありません。

バックスも、モールやラックの技術を上達させて損はありません。

ブレイクダウンの処理に時間をかけすぎると、それだけ相手に時間を与えてしまうことになります。

モールやラックに時間をかけず素早い展開を可能にするためにも、バックスもモールやラックの技術をしっかりと向上させておきましょう。