2015年のラグビーワールドカップ・イングランド大会で、日本はグループリーグ3勝1敗という素晴らしい成績を残しました。
トーナメントには進めませんでしたが、ラグビーを知らない人々も巻き込んで、日本だけでなく世界中を興奮させたのは記憶に新しいですね。
その中で最も話題となったのが、プレースキックを蹴る際の「五郎丸ポーズ」。一体なぜ、あの拝むようなポーズを取るのでしょうか。
1.「意味はない」?
2015年10月に東京都内で行われたイベントで、五郎丸選手は次のように話しています。
「ポーズにはそんなに意味はありません。試合環境というのは、お客様の数や天候といった不確定要素が多いのですが、そういった状況でも自分の時間を作り出すのがルーティンの本質です。この4年間でしっかりと作り上げました。」
つまり、ポーズそのものにはラグビー的な意味が特にあるわけではないのですが、キック前に毎回同じ動作をすることで、直前にどのような状況にあっても「いつも通り」の平常心に戻ることができる、ということなのでしょう。
練習のときから同じことを繰り返すことで、いつもと同じなんだ、という状況を作り出し、落ち着いてキックに集中できる、というわけです。
落ち着きを取り戻すこと、集中力を欠かさないことは、ラグビーの上達には不可欠です。
だからポーズ自体には意味はない、何でもいい、ということなのかもしれません。
2.少し脱線しますが…
ラグビーにおける五郎丸選手だけでなく、他のスポーツでも、一流のアスリートは平常心に戻るためのルーティンを必ず持っているものです。
そしてもし皆さんが学生さんなら、試験のときにこの「ルーティン」は実はとても役に立ちますよ。
大学入試などは本当に緊張する人が多く、実力を発揮できずに終わるという人も毎年後を絶ちませんね。
そこで、家で机に向かう際、毎日同じことをしてから勉強を始めてみましょう。
例えば、手首を片方ずつクルクルと回し、深呼吸を一回する、など。
自分が「いつもやっている」と思えるようなルーティンなら、何でもいいのです。
本番のときにも同じことをすると、意外に緊張がほぐれるものですよ。
実はこれは、筆者が受験生時代(もう20年も前ですが)に、予備校の先生が教えてくれたことでもあるのです。
ラグビーは一生懸命練習していても、勉強にはなかなか身が入らないという人もいるかもしれませんが、あの五郎丸選手もやっているルーティンを勉強に取り入れたら、少しはやる気がでるかもしれませんね。
これ以上は言いませんが、勉強の技術も、実は上達の方法がたくさんあるのです。
3.実はモデルがあった?
少々話が脱線しましたが…
ポーズ自体に意味はないとはいえ、あの特殊なポーズをどのように思いついたのか、という興味はありますよね。
すると、実はいたのです!あのポーズの「モデル」になったであろう、という人が。
それは、2000年代を代表するラグビーのスーパースター、ジョニー・ウィルキンソン選手だと言われています。
五郎丸選手が早稲田大学1年生のとき、このウィルキンソン選手が早稲田大学ラグビー部の指導に来たそうですが、このとき五郎丸選手を含め、数名の部員が直接指導を受けたそうですよ。
そして実は!
このジョニーウィルキンソン選手こそが、現役時代、キックをする前に両手を合わせるポーズを取ることで有名だった選手なのです。
これに関しては五郎丸選手は公では何も触れていないと思いますが、おそらくこのジョニーウィルキンソン選手を少し真似し、上達したのであろう、と言われています。
五郎丸選手より7歳ほど年上のスーパースターに近づくために、あの拝むようなポーズを取り入れたのかもしれませんね。
いずれにしても、ウィルキンソン選手の指導から10余年たち、五郎丸選手はワールドカップの大舞台で、ウィルキンソン選手に勝るとも劣らない、正確無比なキックを世界中に披露したのでした。