コンバージョンキックは、トライの後に追加で2点を得られる機会のことです。
この2点が、試合の結果に大きく左右することもあるのは言わずもがなでしょう。
蹴り方そのものはプレースキックのところで説明することにしますが、ゲームプラン上、この2点を高い確率で取れるような攻め方をすることもできるのです。
ここでは、コンバージョンキックについて説明します。
1.もともと唯一の得点機会
ゴールキックの説明でも少し触れましたが、ゴールキックと言えば通常はこれをイメージすることが多いのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、そもそも成立初期のラグビーでは、得点する方法はコンバージョンキックによるものしかなかったようです。
そのコンバージョンを蹴る機会を得るため、キックにトライする、という意味で「トライ」というものができたため
そう考えると、ゴールキックと言った場合はやはりこのコンバージョンキックを指すのだと解釈するのが、由緒正しい理解だと言ってもいいかもしれません。
こうした知識を得ることも、ラガーマンとして総合的に上達するための助けになるでしょう。
2.コンバージョンキックの留意点
コンバージョンキックはトライした地点の延長線上どこからでも蹴ることができます。
キックの助走に入った時点でインゴールにいる相手チームがプレッシャーをかけに出てくることが許されていますので、そのプレッシャーを受けず、かつあまり遠くない地点にセットすることになります。
ポストに近いところでトライできれば有利になるので、トライの際は余裕があればできるだけポストに近い地点まで回り込むべきです。
試合終了間際で、1トライ1ゴールで同点あるいは逆転といったシチュエーションであれば、チームとしてできるだけフィールド真ん中あたりでトライできるであろうプレーを選択するという、戦術的な観点も必要になってきます。
当然、相手もそれを分かったうえでディフェンスしてきます。
つまり、真ん中だけは固め、端のほうはトライを取られても仕方がないという守備をしてくる、ということです。
練習のときから、こうした状況を想定したプレーをじっくり練り上げていくことが大切です。
3.予備知識
前述の通り、ラグビーではもともとコンバージョンキックを蹴る権利を得るためにトライをする、という前提がありました。
そこから、トライ自体に価値があることが認められ、1970年まではトライは3点、1992年までは4点という時代がありました。
このときから、コンバージョンキックは2点、ペナルティゴールとドロップゴールは3点です。
1992年までの例でいうと、1トライ1ゴールで合計6点ですが、トライを取りコンバージョンを蹴ることで得る得点がペナルティおよびドロップゴール2回分と同等で良いのかという議論になり、やがて現在のようにトライは5点を与える、ということになったわけです。
事実、トライの価値をあげることで、キックを狙うよりもトライを取りに行こうという選択が増えることになり、観客にとってはより面白い試合展開になったことも見逃せません。
みなさんも実際にプレーしていて、ラグビーという競技でトライを取ることはとても大変だということを実感していると思います。
こうした積み重ねを経て現在の得点体系が成り立っていることは、知っておいて損はないでしょう。
4.まとめ
ラグビーにおけるコンバージョンキックは、現在でこそ2点のボーナスポイントのようにとらえられますが、歴史的には非常に重要な意味を持っています。
その権利を得るために先人たちが戦い続けてきた結果、トライは5点という付加価値が認められてきました。
そのことを時々思い出しつつ、技術的にも精神的にも上達を目指して練習に励みましょう。